Research Abstract |
高温構造用材料において重要となる物理パラメータである「熱伝導率」「熱膨張率」「体積弾性率」を金属間化合物全体について明らかにすることを長期的目標としている.本年度は (1)熱伝導率,熱膨張率データの蓄積とその体系化,および,(2)体積弾性率の計測手法の確立を目標に研究を行い,いずれの目標についても十分な成果を得ることができた.特に,熱伝導率の検討においては 調査の対象をB2型金属間化合物だけでなく,L1_2型,D0_<19>型など他の結晶構造を持つ化合物にも拡張した.また,B2型からさらに規則化した結晶構造を持つホイスラ-合金についても検討を行い,熱伝導率に及ぼす規則化の影響を検討した.本年度の代表的な成果を以下に示す. 結果(1):熱伝導率は,B2型だけでなくL1_2型,D0_<19>型などいずれの結晶構造においても,化学量論組成で最大値を示し,組成のずれに伴い単調に減少する.結果(2):結晶構造の規則化によって熱伝導率は増加する.このことは,B2→L2_1,および,A1→L1_2の規則化において成立することを明らかにした.結果(3):全率固溶体の熱伝導率はノルドハイムの関係式により表現することができる.金属間化合物の熱伝導率は,固溶体の熱伝導率と規則化に伴う熱伝導率増加の和として表現することができるという考え方を提示し,その妥当性を示した.結果(4):B2型金属間化合物NiAlの熱膨張率は組成によらず一定となることを実験的に明らかにした.これは,グリュナイゼンの関係式を考えた場合,金属間化合物の擬集エネルギーの立場から適切に説明することができることを示した.
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