Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
水熱法によって合成されたチタン酸バリウム微粒子は,粒径が小さくなるにつれてa軸とc軸の比が1に近づき,ある粒径よりも小さくなると室温においても立方晶のまま安定に存在することが報告されている.このような現象がサイズ効果にによるものなのかどうかを明らかにするために,本研究計画では水熱合成チタン酸バリウム微粒子をいくつかの温度で熱処理をして,主な不純物である水酸基を除いたものや粒径が大きくなったものを調整し,それらの熱容量を広い温度範囲にわたって測定を行い,相転移の有無を明らかにすること,それらの試料をプレスしたものについて誘電率を測定することを目的とした.また,以上の測定より得られた情報から,問題解決に決定的な情報を与えると予想された透過型電子顕微鏡を用いた微粒子一個一個の電子線回折を試みた. 相転移の有無を判断するには,結果として熱容量の測定が最も有効であった.未処理の試料からは何の熱異常も観測されなかったのに対して,600°C以上の温度で熱処理を行った試料はバルクと同じ温度において斜方晶-正方晶の相転移が見いだされ,熱処理温度が高くなるにつれて転移のエンタルピー(エントロピー)が大きくなっていった。800°C以上の温度で処理した試料においては小さいながらも稜面体晶-斜方晶の相転移が観測された.このことは熱処理によって室温で立方晶である粒子が,バルク(と同じ挙動を示す)粒子へと変化したことを示している.室温での誘電率測定において700°Cで処理した試料が最も値が大きかった.770°Cで熱処理を行った試料の電子線回折の結果,原料とほとんど粒径が同じであるにも関わらず正方晶の粒子が見いだされた.以上のことからサイズ効果は完全に否定され,室温で微粒子が立方晶となる原因は他に求める必要があることが示された.
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