Project/Area Number |
08750810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Structural/Functional materials
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高広 克己 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80236348)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 窒化炭素 / イオン注入 / イオン後方散乱法 / 炭素材料 |
Research Abstract |
本研究では、炭素材料中に窒素イオンを注入することで窒化炭素β-C_3N_4生成を試みた。β-C_3N_4生成には高窒素濃度が必要とされる。そこで、窒素イオン注入で導入されうる最大窒素濃度を種々の炭素材料について求めることを中心に研究を行った。炭素中に注入された窒素の定量には、高エネルギーヘリウムイオン後方散乱法を利用した。窒素注入層の分析にはエネルギー3〜4MeV程度のヘリウムイオンを用いたが、このエネルギー範囲では散乱断面積が計算できないため、定量分析のためには散乱断面積の測定が必要である。本研究では、まず、CuNx薄膜試料を用いてヘリウムイオンエネルギー3〜4MeVでの後方散乱断面積測定を行った。その結果、エネルギー3.5MeV近傍で断面積がラザフォード断面積の1.9倍で一定となり、窒素の定量分析には適していることが分かった。そこで、3.5MeVHeイオンを用いる後方散乱法で炭素中の窒素の定量分析を行った。以下に各種炭素材料中の飽和窒素濃度に関する結果を述べる。 ガラス状炭素、等方性黒鉛、ダイヤモンドに50keVNイオンをに注入した場合の飽和窒素濃度は、いずれも30%程度であり、炭素材料による飽和窒素濃度の差異は認められなかった。そこで、不純物元素をあらかじめ添加した場合の飽和窒素濃度の変化を観察した。その結果、不純物として酸素(O)を導入した場合には、O量が10%になると飽和窒素濃度は18%程度に減少する。一方、シリコン(Si)を不純物元素として5〜10%導入すると、飽和窒素濃度は36%以上となり、Si原子の存在によりC-N, Si-N, Si-C-N結合が安定化し、高濃度の窒素が炭素材料に導入できることが明らかになった。この結果は、今後の窒化炭素β-C_3N_4作製法の指針となることから、非常に重要で意義のあるものと考えられる。
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