Research Abstract |
本研究では,定電位電着によりCdTe化合物の電着を種々の条件下で行ない,最適な電着条件を明らかにすることを試みた。本研究の結果は次のように要約される。 (1)試験電極(カソード)にNi板,対極(アノード)にPt板,参照電極にAg-AgCl電極を用いた三電極法により定電位電解を行なった。電解浴中のCdとTeの濃度は,それぞれ0.1mol/l,過飽和である。電着条件としては,浴温は,30,50,70℃の3種類,pHは,2,3,4の3種類を選び実験を行なった。本実験の条件下では,全ての浴温,全てのpHにおいて,CdTe化合物が電着できることが分かった。電着されるCdTe化合物の結晶性は,浴温の上昇と共に良くなる傾向があり,またpHが低い場合ほど電着量が増加する傾向がある。 (2)浴温50℃,pH2の時におけるCdTe化合物の電着電位は-430±10mVvsSHEであり,この電位の領域以外では,CdTe化合物と共にCdないしはTeが析出することが分かった。したがって,単独でCdTe化合物を析出させるためには,電解電位を精度良く制御する必要がある。 (3)Ni試験電極上にTeを電着した後にCdを電着させ,熱処理を施すことによりCdTe化合物を合成することを試みた。Teの電着は浴温50℃,pH11,電解液Te濃度0.1mol/lの条件で,Cdの電着は浴温50℃,pH2,電解液Cd濃度0.1mol/lの条件で行った。電着後の電極を250℃で,1時間保持するとCdTe化合物が形成されることが分かった。しかしながら,CdTe化合物を単独に形成させるためには,TeとCdの電着量をモル比で1:1にする必要があり,電着時における電流の制御が重要である。
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