Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,液相圧力を環境因子・操作因子として利用する新規吸着分離サイクルの開発の基礎として,これまでに全く解明の手の及んでいなかった液相吸着における圧力効果をとりあげ,以下の成果を得た. 1.静水圧効果検出装置の開発・測定 これまでに用いてきた回分式超高圧吸着実験装置より簡便・迅速かつ高感度な静水圧効果測定のための実験装置を考案・製作した.本装置は液体クロマト用送液ポンプにより数百気圧程度の圧力で吸着質溶液を吸着カラムに送り込む流通式装置を基礎とするものである.しかしながらこの程度の圧力レベルでは吸着量の多大な変動は望めないため,所定圧・所定濃度で通液・破過させた平衡状態から圧力にステツプ変動を与えるとともに通液を止め一定時間放置したのち送液を再開するという,独自の操作上の工夫により,吸着量の微小変動の検出を可能とした. 2.圧力効果逆転現象の発見 数種の芳香族化合物水溶液からの活性炭素繊維への吸着について,流通式及び回分式測定により,圧力効果の正負が吸着量の多寡により変わり得るという,圧力効果の逆転現象を発見した.これは次項に述ベるように,液相吸着における吸着分子集団の状態に関する多大な示唆を与える重要な発見と考えられる. 3.圧力効果発現機構の定量化 以上のようなデータの蓄積を踏まえ,静水圧効果の発現機構を検討した.ナノオーダ細孔中の吸着相は細孔壁ポテンシャルの影響を多大に受ける結果バルクと異なる圧力を「感じて」おり,その分子容が常圧状態のものと異なっているとの着想を基礎に,ワークステーションを用いてシミュレーションを行い,吸着相での「実効」圧力及びその影響下での分子容をモデル化することで圧力効果発現機構および圧力効果逆転現象の定量化に成功した.これにより,疎水性溶質の圧力効果を予測する基礎が確立された.
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