Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
研究代表者は分子内に水酸基を有するビニルシランの酸触媒による環化反応について詳細に検討し,以下のような成果を得た. 1位にアルキル基を有する(Z)-5-シリル-4-ペンテン-1-オール類(1)に対して,室温で触媒量の四塩化チタンを作用させると,trans-2-シリルメチル-5-アルキルテトラヒドロフランが選択的に生成することがわかった.(E)-ビニルシランを用いると立体選択性は著しく低下した.立体選択性はケイ素上の置換基によっても変化し,ヒドロジメチルシリル基を有する基質を用いると,高いtrans選択性が得られた.2位あるいは3位に置換基を有する基質を用いると,それぞれcis-2,4-あるいはtrans-2,3-二置換テトラヒドロフランが高立体選択的に得られた.メチレン鎖上に置換基を有する(Z)-6-シリル-5-ヘキセン-1-オール類のテトラヒドロピラン類への環化反応についても検討してみたが,反応の立体選択性は低いものであった. シリル基のα位にアルキル基を有する1や(Z)-4-シリル-3-ブテン-1-オール類(2)に四塩化チタンを作用させると,シリル基の1,2-転位を伴う環化反応によりtrans-2-アルキル-3-シリルテトラヒドロピランやテトラヒドロフランが生成することを見出した.この反応はエーテルやエステルのような極性官能基が共存しても進行した.メチレン鎖上および5位に置換基を有する1を用いると,三つの置換基がすべてエクアトリアル位を占めるテトラヒドロピランが高立体選択的に得られた.またこのとき,酸触媒として四塩化チタンの代わりに塩化アセチルを用いると2-(1-シリルアルキル)テトラヒドロフランが生成しやすくなり、この環化体が触媒量の四塩化チタンにより,シリル基の1,2-転位を伴ってテトラヒドロピランに異性化することがわかった. 生成物のシリル基は容易に水酸基に変換できることから,これらの新規反応は様々な含酸素5,6員環の立体選択的合成に有用であると考えられる.
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