Project/Area Number |
08751000
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑野 良一 京都大学, 工学研究科, 助手 (20273477)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / ロジウム触媒 / アミド / ヒドロシラン / 速度論的光学分割 / 触媒的不斉還元 / β-アミノ酸 / 触媒的不斉水素化 |
Research Abstract |
申請者は、既にロジウム錯体RhH(CO)(PPh_3)_3がヒドロシランによるアミドの還元反応に非常に高い触媒活性および官能基選択性を示すことを見出している。そこで、α-置換マロン酸モノエステルモノアミドが非常にラセミ化しやすい点に着目し、このタイプの基質を光学活性ロジウム触媒を用いて還元することにより、基質のラセミ化を伴った速度論的光学分割がおこり、光学活性β-アミノ酸類が触媒的に不斉合成できると考えた。 まず、マロン酸モノエステルモノアミドの合成を試みた。市販されているクロロホルミル酢酸メチルをテトラヒドロフラン溶媒中でトリエチルアミン、N,N-ジメチルアミノピリジン触媒存在下、ジベンジルアミンと反応させたところ、N,N-ジベンジルマロン酸モノメチルモノアミド(1)が58%の単離収率で得られた。 基質1のRhH(CO)(PPh_3)_3触媒存在下、ジフェ二ルシランによる還元を試みたところ、予想に反して脱水素還元体である3-(N,N-ジベンジルアミン)アクリル酸メチルが16%得られた。この化合物は、反応中間体であるアルキルロジウム錯体のβ水素がエステル置換基により活性化され、β脱離が起こりやすくなったために生成したものと考えられる。以上から、α水素が活性な、すなわちラセミ化しやすいアミドの還元は副反応が優先するために進行しないことがわかった。 そこで、本法による光学活性β-アミノ酸の不斉合成を断念し、別の触媒的不斉合成法を検討したところ、申請者の開発した不斉触媒を用いることによりα-置換-β-アミノアクリル酸類の触媒的不斉水素化反応が非常に高いエナンチオ選択性で進行することを見出した。現段階では、その触媒活性にかなり問題があるため、更なる反応条件、不斉触媒等の改良が必要であるが、本手法が実用的な光学活性α-置換-β-アミノ酸類の供給法となることが期待される。
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