Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ナス(Solanum melongena L.)は主要品種の多くが一代雑種であるので,雄性不稔の利用は品種育成に多大な貢献をするものと考えられるが,これまでに実用的なナスの雄性不稔系統は見出されていない.本研究では,ナスの細胞質雄性不稔系統の育成を目的として,近縁野生種S.indicumを種子親,ナス栽培品種‘Uttara'を花粉親として連続戻交雑を行って得られた戻交雑第一代(B_1)13個体および第二代(B_2)11個体について諸特性を調査した。クロロプラストDNAのPCR-RFLR分析を行った結果,B_1とB_2がともにS.indicumの細胞質をもつことが確認された.葯の長さは,‘Uttara'が7.21±0.10mm,B_1が平均6.45±0.27,B_2が6.86±0.27で,B_2がB_1に比べ‘Uttara'に近い値を示した.花粉の稔性は,B_1が平均17.19±2.16%,B_2が平均37.75±4.17%となり,B_1と比較してB_2の稔性が回復していることがわかった.花粉の放出については,B_1で5個体,B_2で4個体,花粉を放出しない系統が認められた.着果率はB_1が平均77.18%,B_2が91.00%,1果あたりの種子数はB_1が平均116.67個,B_2が199.65個となり,着果率と種子数ともにB_2がB_1よりも高い値を示した.果実重は,B_1が平均12.73±2.12g,B_2が38.73±8.46gとなり,B_2の果実重は‘Uttara'とほぼ同程度だった.以上の結果から,B_2はB_1と比べて,諸形質が‘Uttara'に近づいていること並びに花粉の稔性および種子稔性がともに向上していることがわかった.B_2では種子稔性が高く,かつ花粉が放出されない系統があったことから,これらの系統を選抜しつつ,連続戻交雑を進めれば,ナスの雄性不稔系統の育成が期待できることが明らかとなった.
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