Project/Area Number |
08760149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
林学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小杉 賢一郎 京都大学, 農学部, 助手 (30263130)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 森林土壌 / 不飽和透水係数 / 体積含水率 / 圧力水頭 / 原位置透水試験 / TDR式土壌水分計 / 水源涵養機能 |
Research Abstract |
林地における水循環の特徴の一つとして、森林土壌中の不飽和水分移動現象が挙げられる。大きな保水力を持ち、かつ透水性に富む森林土壌が、森林の水源涵養機能や土砂流出防止機能に大きく貢献していると言われるが、その効果は未だ定量的には明らかにされていない。これは森林土壌の水分特性、なかでも特に不飽和透水係数に関する情報が不足しているからである。このような背景のもと、本研究は森林土壌の不飽和透水係数を原位直で迅速かつ精確に測定するための機器および計算手法の開発を目的としたものであった。本年度の研究では第一に、水の得にくい山地流域での原位置透水試験を可能にするため、ロータリーポンプを用いた小型人工降雨装置および雨水を決められた範囲内の土壌に供給するための実験用採土カラムを作成した。試験では、人工降雨停止後の土層内の体積含水率と圧力水頭の経時変化をTDR式土壌水分計およびテンシオメータを用いて測定した。TDR式水分計には精度が高くかつ短いタイムインターバルで自記計測できる機械を用い、テンシオメータには精度が高くレスポンスの早い圧力センサーを取り付データロガーを用いて自記記録した。この結果、従来の測定手法に比べて質的・量的に改善されたデータを得ることが可能となった。得られたデータを用いて林地土層の不飽和透水係数を算定する過程では、非定常法の1つである瞬間水分計測法を改良し、層毎に異なる透水特性(透水係数と庄力水頭の関係)を精度よく算定することができる新たなアルゴリズムを開発した。開発された一連の手法を、兵庫県六甲山系の林地で原位置透水試験を行うことによって検証したところ、本手法によって算定された透水特性が、従来の実験手法により特定された透水特性と良好な対応を示すことがわかった。従来の手法が不飽和透水係数の測定におよそ3カ月の時間を必要とするのに対し、本手法では全ての試験をおよそ5日間で終えることができ、かつサンプルを実験室内に運搬する手間もない。このように、本研究の結果、森林土壌の透水係数を迅速かつ精確に測定するための手法が構築された.
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