Research Abstract |
島根大学三瓶演習林および島根県平田市の民有林において,森林土壌の水分状態を,定期的に測定した.また,演習林および近隣の測候所における降水データから,土壌の,それまで履歴した乾燥期間を推定した.この,乾燥状態および乾燥履歴の既知の土壌について,室内における培養実験をおこない,窒素無機化能を測定した.また,その土壌をさらに風乾状態にし,再湿潤したときの窒素無機化能も測定した.さらに,初期状態,培養後,風乾後,風乾した後の培養後,のそれぞれに微生物バイオマスC,N量を測定した.また,各条件の培養期間中に生成される二酸化炭素量をアルカリ吸収法によって求め,窒素無機化量とあわせて,無機化される窒素,炭素のCN比を求めた. これらの様々な処理をうけた森林土壌における窒素無機化速度の結果を,野外条件および室内における乾燥の履歴との関連で解析し,そのプロセスを微生物バイオマス,炭素無機化の動態と関連づけたところ,野外における乾燥履歴は窒素無機化速度を上昇させる働きをしていることがわかった.そしてそれは,微生物バイオマス量の変動,および無機化される窒素と炭素の比率が低いC/N比をしめすことから,その土壌の微生物バイオマスの一時的な死滅とその分解が寄与していることが示唆された.これらのデータについて,さらに,反応速度論的な解析を試みているところである.
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