Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Research Abstract |
本研究の目的は,圃場における実蒸発散量と毛管補給水量とを同時に推定しうる理論モデルを用いた数値実験によって作物の生育ステージと消費水量との関係を明らかにし,その知見をもとにより実用的な消費水量の推定法を開発することにある。本研究で得られた成果を要約すると以下のようになる。 1.数値実験:大豆畑での実測データで推定精度の確認を行ったSPACモデルを用いて数値実験を行った。その結果,1)作物の生育ステージが進行するにつれて根の貫入深さが大きくなっていくため,有効土層もまた変動する,2)生育初期では土壌面蒸発が大きくなるため,同一の気象条件では生育ステージの相違による蒸発散量の大きな差は認められない,3)根群域の土壌が乾燥するにつれて下層からの毛管補給水量が増加し,消費水量の緩和が生じる,4)生育ステージによって根群域の厚さが異なるため,同じ消費水量でも生育初期と生育後期とでは作物に与える影響は大きく異なる,ことが明らかとなった。 2.実用モデルの開発:数値実験で得られた知見をもとに,蒸発散量は生育ステージによって変化しないものとして蒸発散位を群落の基準蒸発散量とする,根群域をスケジューリングの対象土層とし,その厚さは播種後の日数の関数で表現する,土壌の乾燥にともなう実蒸発散量の低下および毛管補給水量の増加による消費水量の低下を加味した土壌乾燥度の関数を基準蒸発散量に乗じる,ことにより日消費水量を推定するモデルを開発した。これを他地区で測定されたデータ(大豆)に適用したところ相対誤差30%の精度が得られた。乾燥領域ではさらに良好な推定精度であり,実用上十分なモデルであることが示された。なお,本モデルを開発する過程で作られた基礎モデルを使用した成果を第3回国際農業工学会議で発表した。
|