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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
果菜類は収穫後,その品質保持を図るために予冷し,呼吸や蒸散を抑制する必要がある.特に夏期には収穫物の品温が非常に高く,いかに速く冷却するかがその後の品質を左右する.ところで農産物組織中には呼吸などの生理作用の結果生じたガスが存在している.ガスは熱の不良導体であるため,これが一種の断熱効果をもたらして農産物組織の熱伝達速度を低下させていることが推測される.そこで,冷蔵室の内部庄を高めて冷却すれば,組織中のガスが圧縮されてその存在割合が減少し,その結果,果菜類の熱伝導率が増加し,冷却速度の向上が期待できる. まず冷却速度に直接関わる熱伝導率,熱拡散率などの熱物性値と組織内ガス含有率との関係の検証に必要な熱伝導率計測方法について検討を行った.以前の研究より,組織内ガス含有率が,同じ農産物でも個体によってばらつきがあるのはもちろんのこと,同一個体内部でも分布があることが分かっている.例えばリンゴの場合,3〜25v/v%の分布がある.よって試料中のガス分率の分布幅を小さくするために,試料を薄くする必要があり,またガス分率の分布の影響を除くために,同一試料の熱伝導率と熱拡散率を同時に測定することが望ましい.そこでこれらの要件を満たすラプラス変換法を採用することとし,計測システムの試作を行った.計測システムの測定精度の評価のために,標準試料として石英ガラス,アクリルで熱物性値を計測したところ,本研究に十分な精度で計測が可能なであることがわかった.またナスと大根の熱伝導率を計測したところ,予想通り,ガス体積分率の低い大根の熱伝導率の方がナスより高かった. 現在,同一試料でガス体積分率を変化させた場合に熱物性値にどのような影響があるかを検討するために,加圧下で組織内のガスを減少させながら熱物性値の計測を行うシステムを試作中であり,さらに今後,この知見をもとに加圧下での農産物の冷却実験を行っていく予定である.
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