Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
植生-大気系物理モデルにおける諸パラメータの動的推定の一環として,ニューラルネットワークによる群落コンダクタンスおよび蒸発効率の動的推定法に関する研究をおこなっている。本年度はこのための基礎として,落葉広葉樹林,トウモロコシ圃場,牧草地における群落蒸発散量,群落コンダクタンス,蒸発効率,気象環境要素の測定とそれらの相互関係の解析をおこなった。またトウモロコシ圃場では,茎内蒸散流測定もおこなった。その結果,イカの知見を得た。1.すべての群落で,群落コンダクタンスおよび蒸発効率は全天日射量に対して正の相関を示す。強い水不足がなければ,気象環境要素の中で,全天日射量が群落コンダクタンスおよび蒸発効率におよぼす寄与が最も大きい。2.飽差に対する群落コンダクタンスおよび蒸発効率の応答は,基本的に負である.しかし飽差と日射量の正の相関が強いため,特に空気力学的粗度が小さい牧草では見かけ上逆の応答が現れる。3.群落蒸散量と茎内蒸散流量の群落平均値の差(ET-SAP)は,平均的な植物体内の水分減少速度を表す。水ストレスが小さいとき,ET-SAPと群落コンダクタンスの日変化パターンは一致する。しかし水ストレスが大きいときはヒステリシスを示し,同じET-SAPに対して群落コンダクタンスは午前>午後となる。このため,静的な群落コンダクタンス推定モデルでは一次推定値をもとに異なる日変化パターンを適用するなどの工夫が必要である。そこでフィードバックを考慮したニューラルネットワークの導入によって,状況に依存しない安定した推定結果が期待できる。以上から,今後は気象環境要素を入力とした,ニューラルネットワークによる群落コンダクタンスの動的推定モデルの開発をおこなう。
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