Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ブドウ球菌は家畜の化膿性炎性疾患や食中毒の原因として重要視されている.しかしその分類は,新菌種の提唱があいつぐなど混乱しているため,菌種の同定は困難である場合が多い.本研究ではできるだけ多数のブドウ球菌の16SrRNA遺伝子配列を決定し,進化を加味した系統分類学的解析を行って,遺伝子配列に基づく菌種同定に有用な配列を探索した.実際に配列を決定したのは3亜種を含む16菌種で,DNAデータベースから入手した.7菌種の配列とともに比較解析を行った.その結果,ブドウ球菌菌種間における類似度がもっとも低いStaphylococcus caseolyticus(95.4%以下)を除けば,種間の遺伝的まとまりが高いことが示された.菌種や菌群に保存されていると考えられる特徴的な配列は,塩基部位50から300までの領域で認められ,この配列に基づいて25株の動物症例由来ブドウ球菌分離株の同定を試みたところ,菌種レベルまで詳細に判定することできた.解析した23種のブドウ球菌は近隣接合法による系統樹に基づき,上記のS.caseolyticusの他にS.simulans,S.sciuri,S.auricuralis,S.hyicus,S.saprophyticus,S.haemolyticus,S.warneri,EpidermidisとS.aureusの計10個の菌種群に分類できた.これらのグループのうちS.hyicus,S.epidermidisそしてS.aureus群に含まれる細菌は,それぞれの群内で16SrRNA遺伝子配列の進化距離が極めて小さく,さらに詳細な解析が必要であることが判明した.現在,ブドウ球菌属の残る13種について同様の解析をすすめているが,16S-23Sスペーサー領域のような変異度の高い配列についての比較解析も計画している.なお,本研究で決定した塩基配列はすべてDNA Database of Japanに登録されている.
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