ヒト抗生物質起因性下痢症の疾患モデル動物としてのウサギと発症原因の検討について
Project/Area Number |
08760308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied veterinary science
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
工藤 由起子 国立予防衛生研究所, 食品衛生微生物部, 研究員 (50218632)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 抗生物質起因性下痢症 / ウサギ / クロストリジウム / 血管内皮細胞 / 出血毒素 |
Research Abstract |
Clostridium sporogenesの培養上清から出血毒素の精製を試みた結果、本出血毒素は約13000倍に精製された。得られた毒素の比活性は2600HU/mg(HU;出血単位)であった。この毒素液をPBS中で透析した後、細胞増殖阻害毒性試験に供試した。用いた培養細胞はヒト腸管上皮細胞由来であるCaco-2細胞およびT84細胞、ヒト血管内皮細胞由来であるMvE細胞、ウサギ大動脈から分離したの初代培養内皮細胞の計4種類であった。0.2HU/mlから60HU/mlの毒素液に細胞を暴露して行なった細胞増殖阻害毒性試験の結果、本毒素はヒトおよびウサギの血管内皮培養細胞に対して毒性を示したが、ヒト腸管上皮培養細胞に対して毒性を示さなかった。このことから、腸管上皮細胞は毒素に対して感受性が低いことが明らかになり、このことは動物投与の際の腸管出血病変において腸管上皮細胞は無傷害であったことに矛盾しなかった。また、ヒトおよびウサギの血管内皮培養細胞における50%増殖阻害毒性はそれぞれ1.2および12HU/mlの毒素濃度であった。このことからヒト血管内皮培養細胞はウサギ血管内皮培養細胞よりも毒素に対する感受性が高いことが明かとなり、本毒素はヒトにおいても出血を引き起こす可能性が示された。 以上の結果から、血管内皮細胞に対するC.sporogenes出血毒素の直接的な作用は本毒素の出血機序であることが示唆された。また、ウサギのみならずヒトに対しても本毒素が作用する可能性が強く示されたことから、ヒトの抗生物質起因性下痢症と本毒素の関連を調べる必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
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