発達期大脳皮質神経細胞の興奮性に対するアラキドン酸の修飾作用に関する研究
Project/Area Number |
08770025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General physiology
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
堀本 直幹 秋田大学, 医学部, 講師 (40243927)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | アラキドン酸 / ロイコトリエンB_4 / グルタミン酸受容体 / NMDA応答 / 大脳皮質 / 海馬 / 発達 |
Research Abstract |
Leukotriene B_4(LTB_4)はアラキドン酸代謝産物のひとつであり、強力な白血球遊走作用を有することで知られている。しかしながら、これは脳内で産成されているにも関わらず、その神経細胞に対する作用は明らかではない。ところで、アラキドン酸はNMDA応答を増強し、そのlipoxygenase代謝産物が2次メッセンジャーとして作用しているとの報告がある。そこで、本研究でははじめに、ラットの大脳皮質神経細胞において、アラキドン酸によるNMDA応答の増強作用が発達段階によってどの様に変化するかについて検討した。対象は生後2-18生日(P2-P18)のラットから急性単離したニューロンである。これに対してパッチクランプ法を適用し、NMDA応答に対するアラキドン酸の作用について検討した。その結果、アラキドン酸のNMDA応答増強作用はP2-4でそれ以降に比して、有意に強いことが明らかとなった。また、アラキドン酸の代謝阻害剤の効果を見ると、P2-4の時期にはcyclooxygenase代謝産物が増強に関与していることが判明した。加えて、この時期にはprotein kinase Cもアラキドン酸の効果に寄与していることも明らかとなった。 次いで、LTB_4がNMDA応答に及ぼす影響について検討を行った。対象は16-19生日のラット海馬CA1から急性単離したニューロンである。細胞内から投与したLTB_4はNMDA応答の時間経過を修飾し、これはG蛋白を介したCa-activated K-channelの活性化の抑制効果に寄ることが判った。この成績はLTB_4がNMDA応答を増強させる方向に作用することを意味する。他方、LTB_4を細胞外から投与した場合はNMDA応答を抑制した。このようにLTB_4が細胞膜の内外でNMDA応答に対して増強と抑制の両作用を有しており、細胞の興奮性の調節に微妙に関与していることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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