Project/Area Number |
08770039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General physiology
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
倉田 康孝 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00267725)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 不整脈 / 早期後脱分極 / 遅延整流K電流 / 非線形力学系理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心筋興奮の力学的構造を非線形力学系理論に基づいて理論的並びに実験的に検討し、遅延整流K電流(IK)が早期後脱分極(EAD)発現にいかに関連しているかを明らかにすることである。 まず心筋電気現象を記述する力学系モデルとしてHodgkin-Huxley型モデルを用い、活動電位再分極過程における心筋の力学的性質に及ぼすIKの影響を数学的に解析した。IKの速い成分(IKr)は特異点(定常電流-電圧曲線における零電流電位)の不安定化と深いMDPをもつ高振幅電位振動(再分極)の発現維持に不可欠の電流系であり、従ってその抑制はPhase2EAD発現の重要な要因であることが明確となった。IKrコンダクタンスの低下に伴ってMDPの浅い低振幅電位振動への急激な転移がみられ、低電位振動への劇的転移を生じる臨界コンダクタンスの存在が示唆された。さらにIKの遅い成分(IKs)の抑制(または活性化の遅延)を想定するとAPDの著明な延長とともにwaning-waxingを伴う低電位振動が再現された。IKsは仮想的な力学的構造調節パラメータ(力学的相転移子)であり、EAD発現のメカニズムを活動電位プラトー相でのIKs活性化に伴う力学的構造転移過程(即ち、特異点の不安定化に伴うリミットサイクルの形成)として理解できることが示された。また、EAD発現に関与する臨界IKsコンダクタンス(臨界特異点)の存在が示唆され、EAD制御の問題を臨界特異点制御の問題に帰着させ得ると考えられた。 以上のような理論的検討によりEAD発現におけるIKの役割を明確にすることができたが、これらの結論を実際の心筋システムに適用し得るか否かの実験的検証が必要である。現在モルモット心室筋細胞(M-cell)を用いて、微小電極法並びにパッチクランプ法により、IK抑制(IKを特異的に抑制するIII群抗不整脈薬をプローブとする)による心筋の力学的構造変化とEAD誘発との関連を検討中である。
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