初乳による中枢神経系発達に関する研究(免疫組織化学的並びに行動学的検討)
Project/Area Number |
08770050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Environmental physiology (including Physical medicine and Nutritional physiology)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山室 裕 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (10255119)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 初乳 / 免疫組織化学 / 社会的認知行動 |
Research Abstract |
新生児期における初乳摂取の有無が中枢神経系の発達、分化や行動、知的機能の発現に対する影響を明らかにする端緒として、ラットを用い、[1]初乳の中枢神経系発達に及ぼす影響、[2]初乳の摂取を欠如させたラットの行動量並びに記憶保持能力、を調べた。 [1]分娩予定日の9:00AMからラットの分娩の有無を観察し、分娩が終了したら直ちに乳仔を母親から取り除き、予め用意してある泌乳7日目の母親の乳仔と交換した(実験群)。泌乳7日目まで通常通り哺育させ、7日後(交換乳仔7日齢)乳仔はパラホルムアルデヒドで潅流固定し、全脳を摘出、凍結切片を作製した。交換された分娩後7日目の乳仔は対照群として、実験群と同様に処置した。中枢神経系のニューロンネットワークを観察するために神経細胞の細胞体や神経突起に特異的に発現しているNeurofilament 200kDaに対するポリクローナル抗体を用い免疫組織化学を行った。その結果、分娩時に比べ7日間哺乳させた乳仔のNeurofilamentのシグナルは強くなる傾向にあったが、初乳摂取の有無による明確な差は認められなかった。[2]上記と同様に正常泌乳ラットと初乳摂取欠如ラットを作製し、3ヶ月齢まで両群とも群飼した。記憶保持能力は、赤外線投光器がセットされているビデオ撮影装置により未成熟未知個体の定住テリトリ-侵入に対する社会認知行動を撮影し、その認知時間を測定し評価した。その結果、両群間に記憶保持能力に対する明確な相違は認められなかったが、初乳欠如群は未知個体の侵入に対する認知時間が長くなる傾向にあった。 以上の結果は、初乳摂取の有無が直ちに神経系発達や成熟後の記憶保持能力に影響する事はないと示すものかもしれない。しかしながら、初乳の摂取、またはその欠如が神経細胞を保持するグリア系の細胞に対する影響や今回観察された認知行動の様相の変化を引き起こす原因である可能性を示唆しており、さらなる追究が求められる。
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Report
(1 results)
Research Products
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