大脳皮質におけるアミノ酸神経伝達物質代謝回転とNO
Project/Area Number |
08770082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General medical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中丸 映子 東京大学, 医学部, 助手 (70227875)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1996: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 大脳皮質 / NO / テトラハイドロバイオプテリン / マイクロダイアリシス / アミノ酸系神経伝達物質 / トリプトファン側鎖酸化酵素 / 神経伝達物質代謝回転 / OPAプレラベルアミノ酸分析 |
Research Abstract |
本研究の発端は、ラット大脳各局所のin vivo microdialysis系で、アミン生合成補酵素として知られるテトラハイドロバイオプテリン(THBP)のラット前頭葉皮質潅流が、興奮性グルタミン酸(Glu)・アスパラギン酸の細胞外空間への劇的一過性遊離(数倍から3倍)に始まり、その下降と対照的にグルタミン酸(Glu)、更に、グリシン(Gly)及び一般アミノ酸の大きな遊離がピークとして続き、それが抑制性タウリン(Tau)上昇下降に終わるという、「一連のアミノ酸回転逐次活性化・遊離応答」を劇的に誘発するという現象の発見である。同時期の国内外グループの線条体での研究により、脳の主要なTHBP受容体の多くはNO合成酵素(NOS)であることが判明し、また、D2受容体、G蛋白への関与の議論を通じて、THBPが神経伝達物質遊離因子である可能性が主張されるようになった。しかし、本研究での焦点は、THBPの第一標的の問題もさる事ながら、この物質が誘発した大脳皮質特異的な明確な代謝応答の順列構造、即ち皮質アミノ酸単位応答ループの確立である。実際、視床・線条体で「逐次性」は不明確で、遊離も2倍程度である。この問題は、ニューロン・グリア・血管内皮細胞で構成される微小環境での物質動態を手掛かりとし、高次機能を支える皮質モジュールに対応する代謝モジュールの存在とその誘発の可能性を示唆し、非特異的なカリウムや電気刺激では見出せなかったものである。更に、この様な皮質内在アミノ酸遊離・取込み・輸送ループにおいて、Gluの遊離は、2相性で、第1相はテトロドトキシン(TTX)感受性、第2相はTTX非感受性であることが判明し、この応答ループは第1相Glu遊離で誘発されることが示唆され、また、最終期まで遊離が継続するTauは、Glu遊離第1相に抑制的、第2相に対しては完全阻害が判明し、この皮質アミノ酸の逐次遊離ループの存在は、生理学的にも妥当化された。このループ全体の調節に関し、我々の開発した「5-HT低下モデルラット」(トリプトファン分解酵素の生体投与による脳内5-HT迅速特異的除去法による)を用いて調べると、5-HTレベル低下時では第1相Glu遊離の応答感受性及び規模が明確に低下した。しかし、視床下部など他領域では見られた、THBPによる低下5-HT回転の賦活効果はなく、投射の最末端である大脳皮質のアミン系応答の特異性を示唆する結果を得ている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)