retプロトオンコジーンの変異による細胞癌化機構の解析
Project/Area Number |
08770153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅井 直也 名古屋大学, 医学部, 助手 (80273233)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | retプロトオンコジーン / チロシンキナーゼ / MEN2A / MEN2B / Shcアダプター蛋白 |
Research Abstract |
c-retプロトオンコジーンは、細胞外ドメインにカドヘリン様構造を有する受容体型のチロジンキナーゼをコードし、多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A・2B型の原因遺伝子として知られる。MEN2A・2B型変異によりRet蛋白は活性型となり細胞の癌化を起こす。本年度の研究においては、活性型のRet蛋白によるシグナル伝達の解析を行い、細胞癌化と関連するシグナルを調べた。 MEN2A・2B型変異による活性化変異Ret蛋白をNIH3T3細胞に発現させると細胞のトランスフォーム(細胞癌化)が起こる。活性化Ret蛋白のC末端領域を欠損させたところ、トランスフォミング活性が著明に減弱した。C末端領域には複数のチロシン残基が存在するが、各チロシン残基をフェニルアラニン残基へ置換して調べると、N末端から1062番目に位置するチロシン残基の変異によって活性の減少が起こった。活性の減少はMEN2A型変異と2B型変異の両者に共通していた。in vivoリン酸化ラベル法とペプチドマップによる解析で、活性化Ret蛋白ではin vivoで1062番目のチロシン残基がリン酸化されていることを確認した。また、シグナル伝達におけるRet蛋白の下流因子を検索し、リン酸化チロシン残基を認識するPTBドメイン・SH2ドメインを有するアダプター蛋白であるShcが1062番目のリン酸化チロシン残基を認識すること、活性型Ret蛋白によりShcがチロシンリン酸化されることが確認された。 したがって、MEN2A・2B型変異による細胞癌化には、活性化Ret蛋白の1062番目のチロシンリン酸化に伴う、Shc蛋白を介するシグナルが重要と考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)