Project/Area Number |
08770158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 玄 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 助手 (40243258)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ヒトパピローマウイルス / トランスジェニックマウス / p53遺伝子 / XPA遺伝子 / 精巣腫瘍 / 悪性リンパ腫 / ウイルス発癌 / DNA修復異常 |
Research Abstract |
我々は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の癌化能を個体レベルで解析するため、HPV16型の癌遺伝子E6E7を導入したトランスジェニックマウス(HPV16Tgマウス)を作成した。このTgマウスでは、生後10か月ごろより高頻度に精巣腫瘍が発生することから、ウイルス癌遺伝子による発癌機構を解明するための良好なモデル動物であると考えられる。本研究では、宿主側のDNA修復異常がウイルス発癌に及ぼす影響を検討する目的で、このHPV16TgマウスとDNA修復異常マウス(p53ノックアウトマウス、XPAノックアウトマウスおよびMsh2ノックアウトマウス)を交配し、本年度は、まず、p53遺伝子欠損HPVTgマウス及びXPA遺伝子欠損HPVTgマウスを作成した。p53遺伝子に関しては、同遺伝子をホモ欠損したTgマウスは得ることができず(おそらく胚性致死)、p53ヘテロ欠損Tgマウスでのみ解析した。これらのマウスについて約1年にわたり観察を続けたが、精巣腫瘍の発生時期・発生頻度・組織型・増殖能・細胞死の頻度等の点で野生型Tgマウスに比べて、特に変化はなかった。ところが、p53ヘテロ欠損Tgマウスは、生後7か月齢までに全例悪性リンパ腫で死亡した。この腫瘍は、Thy1陽性であり、T細胞リンパ腫であることがわかった。次に、このp53ヘテロ欠損TgマウスでのE6E7トランスジーンの発現を調べたところ、いずれの組織においてもその発現を検出した。さらに、これらの組織におけるp53蛋白質の発現を調べたところ、p53蛋白質の消失を認めた。よって、p53ヘテロ欠損Tgマウスでは、造血系組織において、HPVトランスジーンの発現によりp53蛋白質の消失が起こり(おそらくE6蛋白質によるp53蛋白質の分解促進)、p53完全欠損と同様な状態となり、p53ホモ欠損マウスと酷似した悪性リンパ腫の発生が出現したと考えられる。
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