Research Abstract |
無症候性脳梗塞(以下SCI)は症候性の脳梗塞のpreliminary stageとして捉えられており,脳血管障害の予防的な観点から注目されている病態である。今回,脳ドック受診者249名(男性204名,女性45名)を対象として,年齢,性別,アルコール摂取,喫煙,運動,睡眠時間,家族歴,血圧,血糖値,総コレステロール値,中性脂肪値とSCIの有無との関連を検討した。 SCIの頻度は全体で71名(28.5%)であった。単変量解析(Woolf法)では,血圧(OR4.49,95%CI2.49-8.09)と年齢(OR4.84,95%CI2.45-9.52)がSCIと有意な関連を認めた。多重ロジスティックモデルにおいても,血圧(OR3.32、95%CI1.69-6.53)と年齢(OR4.14,95%CL1.80-9.53)が有意に選択された。 血圧は年齢の影響を排した多変量解析においても独立した要因として選択されており,SCIとの関連の深さが再確認された。また,年齢は高齢の群になる程SCIの頻度が高い傾向が認められた。高血圧や加齢による脳細小動脈硬化を基礎とした病態とSCIとの強い関連性が示唆された。この両要因は症候性脳血管障害の危険因子でもあり,高齢者の血圧管理の重要性があらためて再確認された。 男性,飲酒週5日以上,喫煙者,運動,睡眠6時間未満,家族歴(高血圧,糖尿病,脳卒中),耐糖能障害,高コレステロール血症,高中性脂肪血症は有意ではなかった。 一方,n-3系不飽和多価脂肪酸との関連については,簡単な食習慣調査(魚介類)では明らかに出来なかった。現在,測定した脂肪酸の結果を解析中であり,平成9年度に報告する予定である。
|