Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では、ダイオキシン類の人体影響評価の一環として、ほとんど生物活性のない1,3,6,8-TCDDの代謝経路を明らかにし、最強毒性を示す2,3,7,8-TCDDのものと比較することで、毒性発現における代謝経路の役割を検討した。まず、1,3,6,8-TCDDをマウス肝ミクロソームを用いて試験管内で代謝した結果、1,3,6,8-TCDDは、2,3,7,8-TCDDに比べ容易に代謝された。1,3,6,8-TCDDの代謝物から推察した主代謝経路は,3位の塩素原子のNIH-shiftを伴う水酸化反応であった。この反応は、最強毒性を示す2,3,7,8-TCDDのものと同一であった。しかしながら、1,3,6,8-TCDDの代謝物は、反応時間30分以上で減少していくことから、水酸化反応を受けた代謝物は、さらに肝ミクロソームの酵素によって代謝されている可能性が示唆された。 次に、ダイオキシン類における生体影響軽減策として、これら化合物に対する生体防御作用を持つ機能性食品の開発を行うため、まず、比較的低濃度の暴露で認められる免疫抑制作用を指標とし、免疫増強系の機能性食品を用いて有用な栄養成分の検索法の確立を行った。機能性食品は、リノール酸、α-リノレン酸およびビタミンEを用いた。結果、ダイオキシンによりコントロールマウスの38%までに抑制された抗体産性能は、ヒトにおける平均的一日摂取量のリノール酸の経口投与によって90%まで回復し、α-リノレン酸およびビタミンEでは、ダイオキシンによる免疫抑制作用は観察されなくなった。このように,ビタミンEおよびn-3系のα-リノレン酸は、n-6系のリノール酸よりも効果的に抑制作用を回復することを明らかにした。この結果は、短期間の栄養成分の摂取によって、ダイオキシンの免疫抑制作用が軽減できることを示している。従って、今回用いた実験プロトコルが食品中の有用成分の検索に適用できるものと考えられた。
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