マイクロ固相抽出(SPME)法による体液中乱用薬物の高感度検出法
Project/Area Number |
08770308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
石井 晃 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30252175)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | マイクロ固相抽出(SPME) / ガスクロマトグラフィー / 窒素リン検出器 / 表面電離検出器 / フェンシクリジン / アンフェタミン / メタンフェタミン |
Research Abstract |
フェンシクリジン(PCP)は幻覚剤の一種で、極めて低濃度で作用が発現するため、高感度検出法が必要とされる。我々は、既にSep-Pak C_<18>カートリッジによる固相抽出とガスクロマトグラフィ(GC)-表面電離検出器を組み合わせることにより、体液中のPCPを高感度に検出することに成功している。PCPは低融点のためマイクロ固相抽出(SPME)に適しており、我々はまず、体液中からのPCPの検出を試みた。SPMEには、膜厚100μmのポリジメチルシロキサンをコートしたファイバーを使用した。1mlのヒト尿あるいは全血に、5ないし25ngのPCPと、内部標準として100ngのジフェニルピラリンを添加したものをサンプルとして用いた。前処理として、全血の場合には、1mlサンプルに500μlの1M PCAを加え十分撹拌した後6,500rpmで10分間遠心し、除タンパクを行った。5mlのバイアルビンに、1mlの尿、あるいは、1mlの全血を除タンパクした上清を入れ、100μlの10M NaOH溶液と0.5g K_2CO_3を加えた後バイアルを密閉し、90℃で10分間ピレヒートした。その後SPMホルダー針をバイアル瓶に挿入してSPMEファイバーを気相中に露出し、さらに30分間加熱し、薬物をファイバーに吸着させた。ファイバーを針内に格納した後、ホルダーをバイアル瓶から抜き取り、直ちにホルダー針をGC注入口に挿入し、ファイバーをGC内に露出して検出を開始した。検出器は表面電離検出器を用いた。注入口温度、検出器温度はそれぞれ、250℃、280℃とし、カラム温度は150-300℃とした。使用カラムはDB-1ミドルボアキャピラリーカラムを用いた。以上の条件下で、PCP及び内部標準のジフェニルピラリンはそれぞれ9.1分と11.0分に検出され、薬物のピークと重なる不純ピークは認められなかった。PCPの回収率は、全血で約10%、尿からは40-48%であり、内部標準の回収率もほぼ同様であった。検量線を作成したところ、尿においては0.5-100ng/ml、全血においては2.5-100ng/mlの領域で良好な直線性を示し、感度限界は尿で0.25ng/ml、全血で1.0ng/mlであり、尿からのPCPの検出については、我々の以前の報告に比べ、感度が約二倍に向上した。 また、SPMEによる体液中からの覚醒剤の検出法は既に報告があるが、我々はファイバーをポリジメチルシロキサンから極性の高いポリジメチルシロキサン-ジビニルベンゼンファイバーを使用することにより、尿中からの覚醒剤の検出感度を大幅に向上させることにも成功した。 以上SPME法は、体液中の乱用薬物の簡便かつ高感度の検出法として、法中毒学領域で広く用いられると思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)