Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
健常者6例と,一側視床のVPLを中心に極めて限局した血管病変を有する視床症候群患者3例を実験対象とし,経頭蓋的磁気刺激による前腕伸筋群の運動誘発電位(以下,MEP)が同前腕の正中神経電気刺激によってどのように変化するかを調べ,以下の結果を得た. 1)健常者では,正中神経電気刺激-大脳皮質磁気刺激の時間間隔(以下,ISI)10msec以下では,正中神経刺激の拮抗筋である前腕伸筋群のMEPは有意な変化を認めないか,あるいは電気刺激の強度によっては逆に促通効果を認めた.さらにISIを延ばしていくと,限られた範囲のISIにおいて,前腕伸筋群のMEPに有意な抑制を認めた.健常者の結果をまとめると,この有意な抑制を受けるISIは14から18msecであり,このISIは正中神経の条件刺激によって誘発されるSEPの皮質成分の潜時に一致していた.この抑制効果は条件刺激の刺激強度によって変化し,条件刺激の強度を運動閾値の70%以上にした場合,この抑制効果が明らかとなったが,運動閾値の50%以下にすると抑制効果は消失した.したがって,前腕伸筋群のMEPにおいてISI14から18msecで認められる抑制効果は大径有髄線維を介する求心性入力によって生じているものと推測された. 2)視床症候群患者の健側前腕では,1)の結果と同様に,正中神経電気刺激による感覚性入力が感覚野に到達するタイミングに一致して大脳皮質を磁気刺激すると,前腕伸筋群のMEPが抑制された.しかし,障害側では,この抑制効果は見られず,正中神経刺激によるSEPのトポグラフィックマップを作製すると,障害側刺激では,感覚性入力が視床レベルで途絶し,大脳皮質に到達していないことが明らかとなった. 以上の結果から,健常者の前腕伸筋群にみられるISI14から18msecでのMEP抑制効果は大脳皮質レベルで生じている可能性が示唆された.
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