経口避妊薬が脳血栓形成に与える影響に関する実験的研究
Project/Area Number |
08770482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
西村 裕之 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20248131)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 経口避妊薬 / 血小板血栓 / 血管内皮細胞 / エストロゲン / プロゲステロン / 砂ネズミ |
Research Abstract |
目的:現在世界的に最も広く使われている経口避妊薬は合成エストロゲンとプロゲステロンからなる合剤であり、両ホルモンによる排卵抑制が主な機序である。欧米では経口避妊薬は脳梗塞の危険因子であると考えられている。しかし経口避妊薬が実際に脳梗塞発症にどのように関与するか、in vivoにおいて実験的に検討した報告はない。我々は総頚動脈に内皮細胞障害を与えた後、エストロゲンおよびプロゲステロンの両者の血栓形成率を比較し、血栓形成に両薬剤が如何なる役割を演じているかを検討した。 方法:実験には生後8-12週齢の成熟雄の砂ネズミ120匹を用いた。麻酔は40mg/kgペントバルビタールを腹腔内投与して行った。実験モデルは内皮細胞障害を作成する14日前から連日薬剤を腹腔内投与した。投与する薬剤は以下の通りで、第1群:0.04mg/kgエストロゲン製剤、第2群:0.4mg/kgプロゲステロン製剤、第3群:0.04mg/kgエストロゲンと0.4mg/kgプロゲステロンの両者、第4群:対照として同量の溶解液であった。各実験モデル群において、内皮細胞障害作成後30分間顕微鏡下にて血栓形成が助長されるか否かを観察した。血液凝固系、血球数、血小板凝集能を測定した。 結果:各群で。血液凝固系、血球数、血小板凝集能に差は認められなかった。血栓の発現率は各々第1群45%、第2群10%、第3群40%、第4群5%であり、第1群(p<0.01)および第3群(p<0.05)は対照群に比し有意に高率であった。 意義:経口避妊薬による脳梗塞発症の機序は血液凝固能の亢進によるものだけでなく、エストロゲンによる血小板血栓の形成も関与していることが明らかにされた。以上の結果は、将来避妊を目的にした経口避妊薬治療に際し、配合比率を考慮することにより副作用としての動脈血栓症発現の軽減に寄与しうるものと考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
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