肥満症における低下した運動耐容能に対するACE阻害薬の有用性に関する研究
Project/Area Number |
08770502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
阪本 整司 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60253267)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 肥満 / ACE阻害薬 / 運動耐容能 / 左室拡張能 |
Research Abstract |
肥満者では循環血漿量増大による血行力学的負荷の持続のため心肥大を生じ、運動時には心肥大に伴う左室拡張能の低下が血行動態の異常反応を引き起こし運動耐容能低下の一要因となっている。一方、種々の血行力学的負荷が加わった際に認められる心肥大にはアンジオテンシンIIが深く関与し、ACE阻害薬によって可逆的であることが示されている。本研究では肥満者でのACE阻害薬投与が左室機能に及ぼす影響を明らかにし、運動耐容能を上昇させうるかを検討した。 32歳、肥満女性例(身長152cm、体重75kg、BMI32.5)に3ヶ月間エナラプリル5mgを投与した。安静時血圧は128/90から130/90mmHg、心拍数は91から89/minと著変なかった。拡張早期左室流入波形の減速度は4.27から5.03m/sec^2と上昇し、左室コンプライアンスの改善がみられた。運動耐容能の指標である嫌気性代謝閾値(AT)での酸素摂取量は1231から1493ml/minと増大し、AT時心拍数は投与前後で146/minと変化なく、酸素脈は8.43から10.23ml/beatと増大した。AT時分時換気量は38.0から38.11/min、一回換気量は1000から1026mlと著変なかった。本例では3ヶ月間体重の増減はなく、運動療法も施行しなかったことより、末梢骨格筋での有酸素能、換気動態の改善はないと考えられる。さらに一回拍出量を反映する酸素脈が増大したことを考え合わせると、本例での運動耐容能の改善にはACE阻害薬による左室拡張能の改善を介した運動時の血行動態異常の改善が寄与していることが示唆された。肥満者における効果的な運動療法の長期継続に際してACE阻害薬が有用となる可能性が示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)