Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
近年,エストロゲンの抗動脈硬化作用が注目されている.その機序のひとつとしてエストロゲンの心血管系に対する直接作用の存在が明らかにされてきた.一方,虚血性心疾患と同様に閉経後に増加する骨粗鬆症とエストロゲン受容体遺伝子多型との関連が報告された.この知見は,特定の遺伝子多型が受容体機能異常を介し,疾患と関連する可能性を示唆する.本研究では,エストロゲン受容体遺伝子多型と虚血性心疾患との関連を検討した.冠状動脈疾患を有する女性75例の末梢血から抽出されたDNAについて,エストロゲン受容体遺伝子のイントロン1にある多型性部位(Pvu II site)を含む部位に特異的なプライマーを用いたPCR法を行い,制限酵素PvuIIによるRFLP解析を行った.さらに,その出現頻度を健常女性189例に同様の解析を行った結果と比較した.本法によりエストロゲン受容体遺伝子はPP,Pp,ppの3型に分類されるが,健常例における出現頻度はそれぞれ23%,47%,30%,冠状動脈疾患例では21%,59%,20%であった.閉経後骨粗鬆症との関連を検討した最近の報告では,骨塩定量法による骨密度はPP型で最も低く,pp型で高いとされる.本研究では,冠状動脈疾患例のpp型の出現頻度は健常例に比し低い傾向(p<0.1)を認めた.これらの結果は,pp型ではエストロゲンの作用が他の2型に比しより効果的に発現し,骨量の減少,あるいは動脈硬化の進行を予防している可能性を示唆する.今後,症例を重ねるとともに,虚血性心疾患の病型,あるいは危険因子との関連などを検討していく必要がある.
|