Project/Area Number |
08770534
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
玉井 収 久留米大学, 医学部, 助手 (40279170)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 血管内皮 / 動脈硬化 / 一酸化窒素 / 高脂血症 / 血液浄化 |
Research Abstract |
高脂血症において動脈硬化発症前より内皮機能異常が存在することが知られており、内皮機能異常が動脈硬化発症に大きく関与することが示唆されてきた。高脂血症患者においては、急速な動脈硬化の進展のため早期より心血管系合併症を高率に発症し予後が著しく不良であることから、その治療が急務となっている。現在、血中脂質を低下させる治療法として、食餌・運動などの生活習慣改善のほか、HMG-CoA還元酵素阻害薬をはじめとした脂質降下剤による薬物療法と血中のLDLを選択的に吸着するLDLアフェレ-シス療法がある。脂質降下剤の長期投与により動脈硬化の退縮をきたし血管内皮機能が改善することが知られており、同様の効果はLDLアフェレ-シスを繰り返す事によっても得られている。しかしながら、LDLアフェレ-シスは一回のセッションで血中のLDLを70%前後も急速かつ効果的に除去しうる治療法であり、LDLアフェレ-シスよる虚血症状の改善は脂質降下剤の効果よりしばしば急速かつ劇的であることから、その内皮気機能改善効果は必ずしも動脈硬化病変の退縮によらない可能性が考えられる。LDL及び酸化LDLは内皮依存性血管拡張反応を強力に抑制し、同時にLDL-アフェレ-シスNo産生刺激物質であるブラジキニン血中濃度を増加させることから、単回のLDL-アフェレ-シスによっても内皮依存性血管拡張反応が改善する可能性がある。そこで、我々はLDL-アフェレ-シスを施行している高脂血症患者において、前腕動脈に内皮依存性血管拡張物質であるアセチルコリンと内皮非依存性血管拡張物質であるニトロプルシッドナトリウムを注入することにより、単回のLDLアフェレ-シス前後の血管拡張反応を検討した。単回のLDL-アフェレ-シスは血漿中LDLとともに血漿中酸化LDL濃度を著減させた。LDL-アフェレ-シスはニトロプルシッドナトリウムによる内皮非依存性血管拡張反応に影響を与えなかった。しかし、アセチルコリンによる内皮依存性血管拡張反応はLDLアフェレ-シスによって急速に脂質を低下させることにより血管構築が変化しないような短時間内に血管内皮機能は改善することを示す。今回の我々の結果は、LDL-アフェレ-シスの臨床的意義を裏打ちすることであり、同時にヒトにおいて循環血中のLDL又は酸化LDLが直接内皮機能異常をもたらすという新しい概念を提唱するものである。この結果は第50回米国心臓学会高血圧評価委員会において口頭発表されその後full manuscriptとてCirculationにoriginalityを讃えるEditorial Comment付きで掲載された。
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