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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
B細胞成熟段階で特異的に発現するPax5,VpreB,λ5などの遺伝子の発現パターンに関して,ヒトにおいては十分に解明されていない.これを明らかにすることでcommon variable immunodeficlency(以下CVID)をはじめとするBリンパ球分化異常症の病因病態解明に役立てることが可能となり,更に一部の白血病の病態解明にも役立てることができると考えられる.このため,1)B細胞分化異常症における免疫学的検討,2)免疫グロブリンH鎖遺伝子の解析,3)Bリンパ球特異的遺伝子発現系の確立,4)Bリンパ球特異的遺伝子に関する検討を行った.7例のCVID患者を対象とした.全例で免疫グロブリン産生不全が認められ,リンパ球表面マーカー分析では,1例を除いてCD19陽性細胞が著明に減少していた.免疫グロブリンH鎖遺伝子にはそれぞれ大きな欠失や変異は認められなかった.B細胞分化の初期段階で発現し,surrogate light chainを形成するVpreB,λ5に関して,解析し得た範囲ではgermiine DNAにおける欠失や変異は認められなかったが,骨髄細胞を採取できた2例では,骨髄細胞におけるれVpreBの発現低下が認められた.VpreB,λ5よりも初期の段階でB細胞に発現するPax5について検討を行ったところ,B細胞系細胞株に発現が認められたが,T及び赤芽球系には発現が認められなかった.成人では脾臓に,胎児では肝臓及び脾臓に強い発現が認められたが,脳における発現は僅かであった.末梢血単核球ではコントロールでPax5の発現が認められたのに対して,患者ではCD19の保たれている1例以外にPax5の発現は認められなかった.これらの患者における免疫グロブリン産生不全の原因として,Pax5の発現もしくはそれ以前の段階での異常が示された.今後,E2Aなど他のマーカーについて更に検索を進めていく予定である.
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