Research Abstract |
紫外線が関与する皮膚の老化(光老化)を解析する目的で、露光部(顔面)と非露光部(躯幹)の皮膚組織内の、(1)各種細胞表面マーカー(CD)による浸潤細胞の同定、(2)ABC法によるコラゲナーゼ(MMP-1,2)やエラスターゼの局在、(3)Masson's trlchrome染色とWelgert染色による膠原線維および弾性線維の占有面積、をそれぞれ検討した。材料は、炎症のない顔面・躯幹の母斑、それぞれ10症例の手術標本を使用した。 その結果、浸潤細胞数、特にLymphoid cellは露光部(平均427cells/field)の方が非露光部(平均293cells/field)よりも有意に多く(p<0.001)、これらはCD4+/CD45RO+のmemory T cellであった。露光部におけるMMP-1,MMP-2,エラスターゼの発現は浸潤細胞に一致して認められ、その平均陽性細胞数はMMP-1(170cells/mm^2)、MMP-2(158cells/mm^2)、エラスターゼ(116cells/mm^2)であり、いずれも非露光部に比べ有意に多かった(p<0.01)。また露光部においては、加齢に伴う膠原線維占有面積は減少し(y=-0.162x+54.303,r=0.240,p<0.05)、弾性線維占有面積は増加した(y=0.260x+3.126,r=0.404,p<0.01)。非露光部においては、いずれの要素も年齢との相関を認めなかった。
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