Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
トロンボポエチン(TPO)は巨核球の増殖、分化促進作用を持ち、血小板造血作用を刺激する因子である。しかしTPOの血管内皮細胞に対する影響についての知見はほとんどない。そこでTPOが血管内皮細胞の増殖にどのような影響を及ぼすのか、また血管内皮細胞の接着因子に及ぼす影響について検討した。 1)TPOの血管内皮細胞の増殖に及ぼす影響について検討するため、培養ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を2%FCS添加Endo-Mediaを基本培地とし各濃度のTPOを添加し、96穴プレートにて培養し、3日目、7日目、14日目にcell counting kitを用いて吸光度を測定した結果、TPO添加群、非添加群に殆ど差が認められなかった。 2)TPOの血管内皮細胞の接着因子の発現に及ぼす影響について検討するため、HUVECを96穴プレートに培養し、TPO(100ng/ml)添加24時間後に抗(CD29,VLA-1,VLA-2,VLA-3,VLA-4,VLA-5,VLA-6,CD-61,HLA-DR,ICAM-1)抗体を用いてELISA法を施行した結果、TPO添加群、非添加群に殆ど差が認められなかった。 3)TNF-αにより増加したHUVECの接着因子の発現が、TPOの添加により影響を受けるかどうかについて検討するため、HUVECを96穴プレートに培養し、TNF-αとTPO併用により刺激し、24時間後に2)と同様の抗体を用いてELISA法を施行した結果、TNF-αにより増加したHUVECの接着因子のうち、ICAM-1の発現のみ若干抑制傾向が認められた。 以上の結果より、TPOは血管内皮細胞の増殖や接着因子の発現に殆ど影響を与えないことが示唆され、臨床応用の際、少なくとも血管内皮細胞に対し副作用を起こさない事が期待できる。
|