Research Abstract |
目的:バルーンカテーテルを用い,血流改変を行うことで肝のCTAの非腫瘍部の造影の均一性が得られるか検討すること.対象及び方法:1994年3月から1996年10月に,血管撮影と同日に肝動脈造影CT(CTA),経動脈性門脈造影CT(CTAP)を行った92症例(96回)のCTAの内,未治療でかつ肝全体がCTAの対象になった65症例(67回)のCTA.通常の造影(投げ込み法)33症例,バルーンカテーテルを用い肝への血流が胃十二指腸動脈から逆流だけになるように血流を改変して造影した(バルーン法)34症例.均一度を,I:均一〜ほぼ均一,II:やや不均一,III:不均一,の3段階に分けて評価.造影欠損の有無は別項目として検討.結果:投げ込み法は,Iが18例(55%),IIが11例(33%),IIIが4例(12%)であった.造影の不均一の原因はカテーテルの位置不良であった.造影欠損は1例(3%)であった.造影欠損の原因はカテーテル位置不良であった.バルーンカテーテル法は,Iが25例(73%),IIが5例(15%),IIIが4例(12%)であった.造影の不均一の原因が推測できた3例は,血流改変により右胃動脈固有肝動脈起始などに逆流を生じたためと考えられた.造影欠損は6例(18%)であった.造影欠損の内容は,尾状葉枝の分岐の破格による尾状葉の造影欠損が4例,血流改変に伴う動脈圧の低下に伴い,下横隔動脈から血流が生じたと推測される横隔膜直下の造影欠損が2例であった.結論:通常のカテーテルを用いたCTAでは,カテーテルの位置不良が原因の造影不良が起こりやすい.バルーンカテーテルを用い血流改変を行うと,非腫瘍部の造影は均一になる傾向にはあるが,血流改変により,造影不良や造影欠損を生じてしまう場合がある.
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