Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
培養メサンギウム細胞(MC)は種々の炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, INF-γ)による刺激のうち,IL-1β特異的に一酸化窒素合成酵素(iNOS)mRNAを誘導し,NOを産生した.IL-1β(100 U/ml)によるNO産生はTGF-β(0.5〜5 ng/ml)により用量依存的に抑制された.最大抑制率は80%に達した.また,iNOS mRNAの発現誘導も抑制された.これらの作用はTGF-β特異抗体により阻害された.Actinomycin D(2 μg/ml)存在下にTGF-β(5 ng/ml)の作用を検討したところ,TGF-βはiNOS mRNAの半減期には影響しなかった.アンジオテンシンII(All, 10^<-6>〜10^<-9>M)もIL-1βによるNO産生を最大で40%抑制した.この作用はAll拮抗薬であるCV11974(10^<-6>M)により阻害されたが,TGF-β特異抗体は作用を示さなかった.AllはiNOS mRNAレベルには影響しなかった.一方,MCおけるアドレナリンα1およびα2受容体mRNAの存在はRT-PCR法により確認したが,ノルエピネフリン(10^<-5>M)およびフェニレフリン(10^<-4>M)はMCにおけるNO産生には影響しなかった.Phorbol myristate acetate (10^<-7>M))はIL-1βによるNO産生およびiNOS mRNAの発現を有意に抑制した.以上の結果から,TGF-βはMCにおいてiNOSの発現をmRNA転写レベルで抑制すると考えられた.AllもMCにおいてNO産生を抑制するが,この作用はTGF-βの産生を介するものではないことが示唆された.また,AllのNO産生抑制作用はprotein kinase C (PKC)を活性化する経路以外の機序が関与している可能性がある.近年,All受容体はPKC以外にもJAK-STAT, MAP kinase経路とも連関を有することが報告されている.NOの腎炎における役割を明らかにするため,これらの細胞内情報伝達系とMCにおけるNO産生との関係をさらに検討中である.
|