Research Abstract |
我々は新しく開発されたニードル型CCDカメラを用い、麻酔犬の生体腎における非イオン性造影剤の腎血行動態および腎細動脈径に及ぼす影響を同時に観察することに成功した。 非イオン性造影剤(全身的に静脈内投与)は腎血流量(RBF;電磁血流計で測定)、糸球体ろ過率(GFR;イヌリンクリアランス)を上昇させた。 腎皮質表層部ネフロンにおいて非イオン性造影剤(全身的に静脈内投与)は糸球体より離れ部位(糸球体進入部より50μm以遠)の輸入細動脈を拡張させ、糸球体近傍(50μm以内)の輸入細動脈、また、輸出細動脈径には有意な影響を及ぼさなかった。 腎皮質傍髄質部ネフロンにおいて非イオン性造影剤(全身的に静脈内投与)は輸出細動脈優位に輸入、輸出細動脈を拡張させた。 アデノシンA1受容体拮抗薬(KW-3902)は非イオン性造影剤によるRBF,GFRの増加および腎皮質表層部ネフロンにおける糸球体より離れ部位の輸入細動脈を拡張、また、腎皮質傍髄質部ネフロンにおる輸出細動脈優位の輸入、輸出細動脈を拡張に影響を及ぼさなかった。 アデノシンA2受容体拮抗薬(KF17837)は非イオン性造影剤によるRBF,GFRの増加および腎皮質表層部ネフロンにおける糸球体より離れ部位の輸入細動脈を拡張、また、腎皮質傍髄質部ネフロンにおける輸出細動脈優位の輸入、輸出細動脈を拡張各々消失された。 以上の結果より非イオン性造影剤は腎内におけるアデノシンを増加させ、アデノシンA2受容体を介し、腎皮質表層部ネフロンにおいて糸球体より離れ部位の輸入細動脈を拡張させ、腎皮質傍髄質部ネフロンにおいては輸入、輸出細動脈を拡張させることによりRBF,GFRを増加させることが示唆された。
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