Research Abstract |
近年,Green tea polyphenol (GTP)の発癌に対する化学予防的効果が注目されている。日本茶に多く含まれるEpigallocatechin gallate (EGCG)は、多くの化学発癌に対する有用性が報告されている.しかし乳癌における影響や,化学発癌以外の発癌系における効果は未だ明らかではない.今回我々は,ウイルス発癌モデルを用いて、乳腺におけるGTPの化学予防的効果の検討を行った。 方法:マウス発癌ウイルス(MMTV)によりinitiateされたマウス乳腺上皮細胞株RIII/MGを6週齢雌BALB/cヌードマウスのmammary fat pad内に移植した。その腫瘍形成性(tumorigenicity)がGTP投与群、非投与群間でどの様な変化をもたらすかを検討した。GTP投与濃度は0.1%,1%とした。移植直後より投与を開始し,自由摂取とした。GTPはPolyphenon-E (EGCG≧50%含有)を用いた。 結果:非投与群では移植後13週で腫瘍を形成し始めた。20週での腫瘍形成性は40%に達した.GTP0.1%投与群では同じく13週で腫瘍を形成し始めた。しかし、20週めでは腫瘍形成は20%であった。GTP1%投与群では20週においても腫瘍の形成は全くみとめなかった.また、EGCGのin-vitroにおける、治療開始36時間後の抑制効果は、RIII/MGでは、0.1μg/mlで49.3%、1.0μg/mlでは61.4%であった。GTP投与群において、摘出腫瘍を組織学的に検討すると、細胞の縮小、核の凝縮など、アポトーシスを思わせる所見を認めた。また、副作用としての体重変化に投与群、非投与群間に差はなかった。以上より,マウス乳腺細胞を用いたウイルス発癌においてもGTPの化学予防物質としての有効性が確認された。
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