胃癌の転移浸潤に関する染色体修復異常,接着因子,細胞外マトリックスの多因子解析
Project/Area Number |
08770963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Digestive surgery
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 浩和 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助手 (00242149)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 胃癌 / 肝転移 / CA19-9 |
Research Abstract |
(目的)胃癌の転移は多くの段階を経て成立する。癌細胞の表面マーカーであるCA19-9は、E-セレクチンのリガンドであり、癌細胞の血管内皮への接着に関与するとされる。この研究では、胃癌の血行性転移に関与する因子を探る為、胃癌組織の免疫組織学的検討を行った。 (対象、方法)対象は1986年から1990年にかけて当教室にて胃切除を施行された患者486人のうち、切除標本の組織学的検査にて静脈侵襲が認められ、術後3年以上経過が観察された44症例とした。対象の性別は男性33人、女性11人、組織型は分化型25例、未分化型19例であり、深達度はt1:3例、t2:20例、t3:18例、t4:3例、同時性肝転移3例、同時性腹膜播種3例であった。総合的進行度はIa,Ib:これら切除標本のホルマリン固定標本を用い、SAB法にて、CA19-9、SLXの免疫組織学的染色を施行した。CA19-9およびSLXの染色陽性群と染色陰性群との間の肝転移発生率と生存率を検討した。統計学的検討はx2検定及びKaplan-Meier法を用いた。 (結果)CA19-9染色陽性例は14例(32%)、染色陰性例は30例(68%)、であった。組織型と染色性の検討では、染色陽性群では分化型10例、未分化型4例、染色陰性群では分化型15例、未分化型15例であった。2群間に性別、年齢、組織学的進行度、組織型に於ける有意な差はみられなかった。 術後3年間の経過観察中に肝転移は8例見られた。染色陽性群に6例(43%)、陰性群に2例(6.7%)であり、2群間に有意差が見られた。組織型別に検討すると、分化型では、染色陽性群10例中5例(50%)、染色陰性群15例中1例(6.7%)と有意差が見られた。一方、未分化型では染色性と肝転移率に有意差は見られなかった。 3年生存率は、染色陽性群で35.7%、陰性群で50%であり、3年生存率及び生存曲線に有意差が見られた。組織型別に検討すると、分化型では3年生存率及び及び生存曲線に有意差が見られたが、未分化型においては有意差は見られなかった。 (結論)癌細胞の表面マーカーであるCA19-9はE-セレクチンのリガンドであり、癌細胞の血管内皮への接着に関与するとされる.今回の検討にて、分化型胃癌の肝転移とCA19-9の発現には有意な関係が見られ、組織中のCA19-9の発現の検索は肝転移の予測に有効であり、CA19-9の抗体を用いて肝転移を予防する可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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