Research Abstract |
細胞周期関連遺伝子による細胞周期の抑制と癌化との関係を明らかにする目的で,食道癌細胞株において,各種G1サイクリン,CDK,CDKインヒビターの発現及び遺伝子変化を検討した。その結果,多くの食道癌細胞株において,CDKインヒビターであるp16^<MISI>の遺伝子欠失がみられ,さらに他のCDKインヒビダ-であるp27^<KIP1>やサイクリンD1・CDK4・Rbの蛋白発現がかなり相関することを見い出した。 一方胃癌細胞株において,インターフェロンβによりアポトーシスを起こすTMK-1細胞のみで,p27^<KIP1>mRNA及び蛋白のインダクションがみられ,CDK6がp27^<KIP1>とバインドし,Rbの脱リン酸化がおこることを見い出した。すなわち,TMK-1細胞においては,インターフェロンβによるp27^<KIP1>の誘導が,細胞成長阻害やアポトーシスを引き起こしていることを明らかにした。また,インターフェロンβレジスタンスである胃癌細胞株においては,このようなp27^<KIP1>の誘導は認められず,インターフェロンのレセプター系の異常などが予想されるため更なる検索が必要である。
|