Research Abstract |
Comparative genomic hybridization(CGH)法を用いて,脳腫瘍の染色体,遺伝子異常の解析を行い,未だ報告がない興味深い結果を得た。まずRFLPやFISH法との比較からCGHは極めて有用な分子遺伝子異常検出法となることを証明した。その結果は1996年に論文掲載された。CGHに改良を加え新たな分子生物学的診断法の手技を開発し,腫瘍の脳などへの転移に関与する染色体,遺伝子異常について明らかにした。これについては今年Genes Chromosomes & Cancerに掲載予定である。また腫瘍の浸潤能に関与する遺伝子異常の解明を行い,その論文を現在英国雑誌に投稿中である。神経膠腫では40例の悪性及び分化型神経膠腫の遺伝子異常の解析結果から、神経膠腫におけるgenetic pathwayの確立を行った。その中でいくつかの新たなoncogeneを示唆する所見を得た。また10q,14qの欠失が神経膠腫のgenetic instabilityに関連していることを明らかした。すでに論文を米国雑誌に投稿しており,さらに症例を重ねている。一方,この結果を元に現在,遺伝子に特異的なプローブを用いたfluorescence in situ hybridization法により癌遺伝子,癌抑制遺伝子のマッピングを行っている。また増殖能等の指標(Ki-67,フローサイトメトリー,Laser Scanning Cytometer)の評価も行っており悪性度に関わる染色体遺伝子異常を同定する予定である。25例の髄膜腫を解析したところ,1p,10q,20qなどに悪性髄膜腫に特有の変化が同定され髄膜腫のgenetic pathwayを作製した。現在米国雑誌に投稿中である。髄芽腫ではパラフィンブロックからCGHを行ったが,retrospectiveに化学療法感受性や患者の予後に関わる異常を明らかにした。
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