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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
今年度は、第一にレシチン化SODの犬クモ膜下(二回)出血モデルに対する予防効果を検討すること、第二にsuperoxide anionによって発現するであろう攣縮血管壁の細胞障害(器質的変化)発生機序が,necrosisであるかapoptosisであるか,この点を明らかにするため、偽治療群とレシチン化SOD治療群の攣縮血管壁について、DNA断片化をアガロース電気泳動法により,組織学的局在を含めTUNEL法そして超微形態学的観察の各関点から比較検討するこの二点を目的とした。 実験(I)遅発性脳血管攣縮モデルに対するレシチン化SODの予防効果 非治療群(n=9)では、脳底動脈径は処置前に比し62.0±2.5%まで収縮した。一方、レシチン化SOD治療群では、大量投与群(200mg/kg:n=5)で62.3±2.7%、少量投与群(20mg/kg:n=6)では62.2±3.0%と明らかな脳血管攣縮予防効果が観察されなかったのに対し、中等量投与群(70mg/kg:n=7)では73.4±4.5%と有意に脳血管攣縮は抑制された(p<0.05)。病理組織学的にも中等量投与群では、病理変化に関して著しい軽減所見が得られた。 実験(II)遅発性脳血管攣縮病態下で発現する細胞障害機序の解明 実験(I)の各群のday3,day7の剖検時に得られた脳底動脈標本についてday3,day7の時点で典型的なDNAラダー所見が得られた。さらに、TUNEL法陽性細胞が散見された。しかし、現時点ではapoptosisの存在を確定診断するための特徴的な核クロマチンの凝集像は電顕的に検出されていない。今後さらに、検索を勧める予定である。 以上、今回の検討は、脳血管攣縮の発生メカニズムにフリーラジカルが関与している可能性を強く支持する所見が得られた。さらに、血管壁の細胞障害機序にapotosisの機序が関与している可能性が示唆された。
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