Research Abstract |
1,実験方法:ペントバルビタール麻酔下で体重350-450gのSDラットの腰部硬膜外腔にポリエチレンカテーテル(PE-10)を留置し,回復後テイルフリックテストを用いて抗侵害作用を評価した。投与薬物としては,(1)ATP感受性K^+チャネル開口薬であるニコランジルあるいはレブクロマカリム,(2)モルヒネ,(3)ATP感受性K^+チャネルブロッカーであるグリベンクラミドをそれぞれ単独あるいは併用で硬膜外投与した。 2,結果:(1)ニコランジルおよびレブクロマカリム単独は,10〜100mcgの投与量で明らかな抗侵害効果を示さなかった(%MPE<20%)。(2)モルヒネは1mcgでは明らかな抗侵害効果を示さなかった(%MPE=-3%)が,10〜100mcgでは用量依存性に抗侵害効果を示した(各々の%MPE=46,66%)。(3)ニコランジル(100mcg)およびレブクロマカリム(100mcg)は,モルヒネ(1mcg),の抗侵害効果を有意に増強した(各々の%MPE=40,47%)。(4)この抗侵害増強作用はグリベンクラミドによって拮抗された(各々の%MPE=-5,7%)。(5)ニコランジル100mcgの硬膜外投与時には脈拍数や血圧の変化はみられなかった。 3,考察:硬膜外投与されたATP感受性K^+チャネル開口薬は硬膜外モルヒネの鎮痛効果を増強することが示された。以上の結果から,脊髄中枢神経系においてATP感受性K^+チャネルは疼痛伝達に関して抑制的に作用すると考えられ,今後の臨床面におけるATP感受性K^+チャネル開口薬の疼痛治療への応用の可能性が示唆された。
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