自己調節機構の破綻した脳傷害患者における血圧管理に関する研究
Project/Area Number |
08771194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中島 研 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (00243668)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 脳血管 / 脳血流量 / 自己調節 / 近赤外線スペクトロスコピー / 経頭蓋ドップラー法 / 血管拡張薬 |
Research Abstract |
目的;体平均血圧が約50〜150mmHgの範囲で緩徐に変化した場合にも,脳血流量が一定に維持される脳血管の自己調節機能の存在が知られている.本研究では,体血圧の急激な変化に伴う脳循環指標の変化を追跡することで,そのような条件下での脳循環の安定性,すなわち動的自己調節機能を評価する. 方法;(1)脳血管障害の既往のない腹部大動脈瘤切除術を施行中の患者において,近赤外線スペクトロスコピー(浜松ホトニクスNIRO500)により脳組織酸化,還元ヘモグロビン濃度(HbO2,HbR)を,経頭蓋ドップラー(EME社TCD)により中大脳動脈血流速度(mV)をモニターし,大動脈遮断解除前後でのこれらの指標の変化を追跡した.(2)クモ膜下出血で治療中(クリッピング術待機中)の患者に同様な脳循環モニターを行ない,血圧上昇に対してニカルジピン0.5〜1.0mgを静注した場合のこれらの指標を変化を追跡した. 結果;(1)大動脈遮断解除によって血圧は平均80から約1.5分で60mmHgに低下(phaseI),輸液負荷などにより約3.5分で元のレベルに復し(phaseII),その後約2分間100〜120mmHgにovershootした(phaseIII).HbO2変化:phaseIでは平均血圧60〜65mmHgから低下し始め,phaseIIではほぼ直線的に上昇(ΔHbO2[μM]=0.04・ΔBP[mmHg]),phaseIIIでは安定していた.HbR:HbO2と鏡像的変化.mV:phaseI〜IIIを通じて血圧に直線的に相関して変化した(ΔmV[cm/sec]=1.6・ΔBP[mmHg]).(2)ニカルジピン静注により平均血圧は10mmHg低下しHbO2,mVともに減少した. 考察;約5分間で50〜60mmHgという急激な血圧変化に対しても,脳血液量,脳血液酸素化状態に関する自己調節が存在するが,静的自己調節よりも調節範囲は狭い.また,血圧下降時と回復時では軌跡が異なるヒステレシスが存在する.降圧薬投与時は,薬理的な脳血管拡張,動的自己調節,体血圧変化が一体となり脳循環動態の変化が複雑であり、引き続き今後の検討を要する.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)