揮発性吸入麻酔薬の気道平滑筋弛緩機序とその臨床的意義の解明
Project/Area Number |
08771201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 哲也 九州大学, 医学部, 助手 (60214243)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 気道平滑筋 / カルシウムイオン / カルシウム感受性 / 吸入麻酔薬 / ハロタン |
Research Abstract |
1.ブタ気管から作製した平滑筋条片に蛍光カルシウム指示薬を生理的に取り込ませ、細胞内カルシウム濃度と収縮張力の同時測定を行った。 2.高カリウム脱分極下に外液カルシウムイオン濃度を0から累積的に増加させると、細胞内カルシウム濃度が濃度依存性に上昇し、同時に収縮張力の上昇がみられた。 3.この外液カルシウムイオン濃度上昇による収縮中の細胞内カルシウム濃度-張力関係を求め、これに対するハロタンの作用を調べた。 4.低濃度ハロタンは、外液カルシウムイオン濃度上昇による細胞内カルシウム濃度、張力の上昇のいずれにも作用せず、したがって細胞内カルシウム濃度-張力関係にも変化を生じなかった。 5.アセチルコリン(1μM)存在下に2.の実験を行うと、細胞内カルシウム濃度の上昇は同程度なのに対し、張力の上昇は著明に亢進した。したがってこの収縮から求めた細胞内カルシウム濃度-張力曲線は脱分極のみに比べて著明に左方に偏位した。このことは平滑筋細胞内の収縮器のカルシウム感受性がアセチルコリンによって増大したことを意味する。 6.低濃度ハロタンは、外液カルシウムイオン濃度上昇による細胞内カルシウム濃度の上昇には影響しなかったが、張力の上昇を抑制した。すなわち低濃度ハロタンは、アセチルコリンによる細胞内カルシウム濃度-張力曲線の左方偏位を明らかに抑制した。 7.別に、カルバコール(1μM)による収縮中に、高濃度のハロタンを投与すると、細胞内カルシウム濃度、張力ともに低下がみられた。 以上より、揮発性吸入麻酔薬の一種であるハロタンは、ブタ気管平滑筋において、細胞内カルシウム濃度を低下させて弛緩を生じる作用もあるものの、主にはアセチルコリンによる収縮器のカルシウム感受性増大を抑制することによって直接的気道平滑筋の弛緩を生じることが示唆された。
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Research Products
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