Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は交付申請書に記載した研究実施計画のうち、実験1:麻酔薬の神経型ニコチン性アセチルコリン受容体に対する効果に関して研究を行った。ラット褐色細胞腫に由来するPC12細胞は、交感神経節節後ニューロンと類似した神経型ニコチン受容体を発現している。本研究では,培養したPC12細胞を用いて、神経型ニコチン受容体の応答電流に対するバルビツレート、プロポフォールとケタミンの作用をパッチクランプ法を用いて検討した。 【方法】 未分化の培養PC12細胞を用い,Whole oell voltage clamp methodにより,ニコチンに対する応答電流を測定,記録した。Y-チューブ法によって,アゴニストとしてニコチン(30μM)を投与し,各種濃度のサイオペンタール、プロポフォール,ケタミン存在下の反応と比較した。 【結果】 サイトペンタール、プロポフォール及びケタミン3者共保持電位-60mVにおいて,ニコチン応答電流を濃度依存性に可逆的に抑制した。この作用は2者ともにピーク電流よりも脱感作後の定常電流に強く,ピーク電流と定常電流に対するIC_<50>は,サイオペンタールが49.2μMと6.1μM、プロポフォールが53.2μMと5.6μM、ケタミンは25.7μMと2.1μMであった。またこの3腫の静脈麻酔薬のニコチン応答電流の抑制は膜電位に依存せず,平衡電位の変化も認められなかった。 【考察及び結論】 サイオペンタール及びケタミンは、PC12細胞における神経型ニコチン受容体を介する応答電流のうち、定常電流を臨床使用濃度で強く抑制したが,プロポフォールによる抑制は、臨床使用濃度により若干高い濃度で観察された。 本研究により、臨床使用時にサイオペンタール及びケタミンは交感神経節におけるシナプス伝達の抑制をもたらすが、プロポフォールのシナプス伝達抑制作用は少ないことが示唆された。このことは、臨床で観察される3種の静脈麻酔薬の自律神経系への効果とは異なる。すなわちin vivoでは,節前ニューロンを含む中枢神経系に対する作用など他の要因によることが大きいと考えられる。
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