Project/Area Number |
08771239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00257841)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | アロディニア / 痛覚過敏 / プロスタグランジン / グルタミン酸受容体 / 一酸化窒素 / ノックアウトマウス / ノシセプチン |
Research Abstract |
アスピリンの解熱鎮痛作用がプロスタグランジン(PG)の合成阻害によることはよく知られているが、申請者らは、生理活性物質として初めてマウス髄腔内投与のPGE_2とPGF_<2α>が、軽い触覚刺激に対して強い痛みを感ずる感覚異常、アロディニアを引き起こすことを報告した。このアロディニアは、難治性で慢性痛となる帯状疱疹後神経痛等の動物モデルとしてもきわめて有用である。申請者らは、このアロディニアの発現機構を脊髄レベルで検討して以下の知見を得た。 1)脊髄におけるPGの相互作用 PGD_2がPGE_2によるアロディニアを抑制すること示し、PGD_2自身は痛覚過敏反応を誘発する一方、生理的条件下ではアロディニアが生じないよう痛覚伝達において重要な役割を果たしている可能性を示唆した。 2)マウス髄腔内投与のPGE_2による痛覚過敏反応に対する一酸化窒素(NO)の関与 海馬や小脳での学習や記憶などの現象にグルタミン酸受容体やNOを介することが知られているが、申請者らはNOの前駆物質のL-アルギニンをマウス髄腔内に投与すると痛覚過敏反応が出現すること、PGE_2による痛覚過敏反応がNO合成酵素阻害剤やグアニル酸シクラーゼ阻害剤で抑制されることから、PGE_2による痛覚過敏反応にNOが伝達物質として重要な役割を果していることを明らかにした。 3)ノックアウトマウスを用いた痛みの実験 以前、申請者らは、PGE_2とPGF_<2α>によるallodyniaにグルタミン酸が伝達物質として重要な役割を果していることを明らかにした。NMDAグルタミン酸受容体は、ε1-4、ζ1のサブユニットからなり、最近の分子生物学的手法の発展により、これらのサブユニットのノックアウトマウスが作製された。申請者らは、PGの実験結果をNMDA受容体ノックアウトマウスを用いて確認すると、PGF_<2α>によるallodyniaはε4を、PGE_2による痛覚過敏はε1/ε4を介して引き起こされ、PGE_2によるallodyniaは、野性型ではNMDA受容体を介しているがノックアウトマウスでは他の経路によって代償されることを明らかにした。 4)オピオイド受容体類縁体ROR/Cの内因性リガンドnociceptinの単離・同定 申請者らはウシ脳からオピオイド受容体類縁体ROR/Cの内因性リガンドnociceptinの単離・同定に成功した。nociceptin前駆体mRNAが脊髄後角に存在し、髄腔内投与したnociceptinが非常に低濃度で痛覚過敏反応とアロディニアを誘発することを報告した。さらに、nociceptinの痛覚反応がグリシンの同時投与で抑制されることから、その作用が中枢性の脱抑制に起因することを明らかにした。
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