Research Abstract |
マウス初期発生胚のin vitro発生停止の原因を明らかにする目的で、受精後の第一、第二細胞周期における初期胚のミトコンドリア細胞内分布の経時的変化を共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討し,さらにその超微形態についても解析を行った。【方法】ICR系雌マウス4〜6週齢にPMSG5単位,48時間後にhCG5単位をそれぞれ腹腔内投与して過排卵処理を施し、同系成熟雄マウスと一晩同居させ翌朝膣栓を認めたマウスを実験に用いた(vivo胚)。また過排卵処理マウスから排卵卵子を回収・媒精し,得られた受精卵を実験に供した(vitro胚)。hCG投与後12時間以降54時間まで、6時間ごとに卵管より胚を回収し蛍光色素rhodamine123を用いて胚内のミトコンドリア(MT)を染色し,共焦点レーザー顕微鏡(CLMS)下で観察した。さらに透過型電子顕微鏡(TEM)による超微形態学的変化を経時的に検討した。【結果】vivo胚、vitro胚ともにMTは細胞周期に従って胚内を移動し、核周囲凝集型,細胞周囲凝集型,均一型,凝集塊形成型の4型に分類され、数種類の型が同一胚に混在するものもみられた。またvitro胚では受精卵の99%が2細胞期で発生停止し,TEM下でMTの変性像(クリステの崩壊,ミエリン形成)の経時的増加が認められた。2細胞期vitro胚ではBrdU陽性細胞が74.8%を占め、超微形態学的にM期の特徴的所見は認められず、CLMS下でM期直前に特徴的な細胞膜直下のMT集合像がhCG投与66時間後の胚の54.3%に認められ、vitro胚では主として第二細胞周期S期以降M期直前に発生停止していることが明らかとなった。
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