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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
今回われわれは,卵巣癌の浸潤,転移におけるトリプシンの役割を明らかにするために,上皮性卵巣癌患者の手術時に採取した臨床検体を用いて,その遺伝子発現,蛋白の発現を検討した. まず,Northern Blot法により,卵巣癌組織のトリプシノーゲン遺伝子発現を検討したところ,臨床病期にかかわらず,約8割の卵巣癌検体でトリプシノーゲン遺伝子発現を確認した.特に漿液性腺癌,粘液性腺癌で強い発現が認められた(投稿準備中). また,すでにわれわれが方法を確立した抗ヒトトリプシンモノクローナル抗体による免疫染色法により,多数症例のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片においてトリプシン蛋白の局在,染色強度等の分析結果と臨床病態との相関を検討した.その結果,組織型別の発現の強度はほぼNorthern Blot法の結果と一致した.また,低悪性度腫瘍群と悪性群で比較したところ,統計学的に有意に悪性群で高頻度にトリプシン蛋白が陽性であった(投稿準備中).以上の結果より卵巣腫瘍の悪性進展に,トリプシンが関与する可能性が示唆され,現在トリプシンインヒビターによる転移抑制実験を計画している.
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