Research Abstract |
体外受精・胚移植施行症例より得た卵胞液を用いて、ヒト卵胞液中の黄体化ホルモン結合抑制因子(luteinizing hormone binding inhibitor : LHBI)について検討した。 ヒト卵胞液を10.000rpmで遠沈し残渣を除いた後、残留分子量500および10.000のフィルターを用いて限外濾過、脱塩した。得られたヒト卵胞液低分子量分画(MW 500-10.000)を酢酸アンモニウムをelusion bufferとしてMono Qカラムによる陰イオン交換し画分化した。画分化されたサンプルについて、^<125>I-hLHのヒトLH受容体結合に対する効果をRadio ligand receptor assay (RRA)にて比較検討すると、Mono Qカラム非吸着分画(MQ-TO)に^<125>I-hLHの受容体結合を阻害する活性(LHBI活性)が回収された。以下、MQ-TO分画の生物活性について検討した。 RRA法での検討では、MQ-TOは^<125>I-hLHのヒトLH受容体分画に対する結合を用量依存的に阻害した。ヒトLH受容体分画は95%O_2, 5%CO_2環境下で37C, 18hr培養するとhLH刺激により用量依存的にcAMPを産生したが、MQ-TOを同時添加するとhLH刺激下のcAMP産生は有意に抑制された。また、成熟マウス精巣間質細胞を用いたin vitro bioassayではovineLH刺激下に95%O_2, 5%CO_2環境下で34C, 3hr培養すると成熟マウス精巣間質細胞は用量依存的にcAMP, testosteroneを産生したが、MQ-TO同時添加によりovineLH刺激下のcAMP, testosterone産生は有意に抑制された。 以上より、ヒト卵胞液中にLHBI活性分画が存在し、LHの受容体結合を調節し、LHにより誘導されるステロイド産生を修飾することで生物活性を発現している可能性が示唆された。
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