Research Abstract |
正常モルモットを用いバソプレシン静注(0.5ml)し、蝸牛電位と蝸牛血流につき検討した。バソプレシンは大腿静脈より挿入したカテーテルより投与した。蝸牛電位は蝸牛骨壁に置いた銀ボール電極より、また蝸牛血流は蝸牛基底回転側壁にあてたプローベからレ--ドプラー法にて測定した。全身血圧は大腿動脈に挿入したカテーテルより測定した。10^<-5>M,10^<-6>M、10^<-7>Mバソプレシン静注した場合、静注直後より不整脈が生じ蝸牛電位と蝸牛血流の評価が不可能であった。10^<-8>M,10^<-9>M、10^<-10>Mバソプレシン静注ではほとんど全例で血圧上昇がみられ、それに伴い蝸牛血流の増加がみられた。蝸牛血流が増加したものでは一部蝸牛電位が増大したものもみられた。10^<-11>M,10^<-12>Mバソプレシン静注では血圧上昇も軽度で血圧上昇がみられないものもあり、蝸牛血流は増加したもの、変化のみらえないもの、減少したものとさまざまであった。蝸牛血流の増減が約25%以内(ほとんどの例)では蝸牛電位は不変あるいは少し減少した。10^<-13>Mバソプレシン静注では血圧、蝸牛電位、蝸牛血流に変化はみられなかった。バソプレシンの濃度が高い場合、バソプレシンが血圧上昇させ、それに伴い蝸牛血流、蝸牛電位が増大した。10^<-11>M,10^<-12>Mバソプレシンでの結果より蝸牛電位の変化は血流以外の要因(例えば内耳の細胞が血流変化を介さず直接影響を受ける)も考えられた。今後例数を増加させ定量的評価を行ない、次に内リンパ嚢を除去して作成(Kimuraの方法)した内リンパ水腫動物を用いて検討する予定である。
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