Research Abstract |
我々の従来の実験結果より,頭頚部癌組織においてmatrix metalloproteinase-1(MMP-1/Collagenase)・は比較的浸潤傾向の弱いpushing marginの腫瘍浸潤形態を示す組織に発現し,特に腫瘍近傍の間質に浸潤した好酸球に強く発現していること,さらに成熟好酸球の活性化因子interleukin-5(IL-5)mRNAが好酸球自身に発現していることから,IL-5が腫瘍組織における好酸球浸潤tumor associated tissue eosinophilia(TATE)を誘導し,好酸球が宿主組織の再構築を目的としてMMP-1を分泌しているという一つの機序が示唆された。今回この系をin vivoのレベルで解明するため,以下の実験を行った。 咽頭癌細胞株Hep-2細胞をヌードマウスの皮下に2×10の6乗個移植し,1週間後および2週間後にIL-5を経静脈的に投与して,一定期間後(4〜5週間後)に増殖した腫瘍組織を採取した。新鮮組織からAGPC法によりtotal RNAを抽出し,また4%paraform aldehyde固定標本から連続切片を作成して,好酸性顆粒を特異的に染めるルナ染色,MMP-1 cDNA probeを用いたnortern hybridizationおよびin situ hybridization,抗MMP-1抗体を用いたwestern blotおよび免疫組織化学染色,腫瘍重量測定,増殖曲線の作成を行い,1)好酸球浸潤の程度,2)MMP-1 mRNAの発現,3)MMP-1蛋白の産生,4)腫瘍増殖抑制効果を調べた、IL-5投与群・非投与群の間の比較も含め,各項目の相関関係について統計学的に有意差を検討した。(結果については今後学会等で報告予定である。)
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